グローバルに展開する製薬企業あるいは日本史進出する海外企業にとって、EUのQPPV (Qualified Person responsible for Pharmacovigilance) と安全管理責任者や総括製造販売責任者との違いを説明する必要がでてくると思います。 他にも訳し方はあると思いますが、参考までに直訳では無く私なりの意訳です。
総括製造販売責任者 Qualified chief person for marketing
安全管理責任者 Qualified person responsible for safety
品質管理責任者 Qualified person responsible for quality
日本のファーマコビジランスは医薬品安全性監視として広く認識されています。日本では従来より、医薬品の安全性というと、被害が拡大すると社会的関心も高まるような薬害になりかねない臨床的安全性に着目しています。欧州でも従来よりDrug safetyは日本と同様に関心の高い課題です。そのために必要なあらゆる科学と活動がPharmacovigilanceというのが欧州の捉え方です。その考え方はファーマコビジランス国際学会(International Society for Pharmacovigilance: ISOP)でも示されています。
これまでの総括製造販売責任者(総責)は経営への影響力が法的に保証されていませんでした。2019年に成立した薬機法改正により、総責が参加できるようにするとともに、総責には品質管理責任者と安全管理責任者との定期的な会議等を通じて、全体の監督を行うことよう、責務が明確にされました。十分な経験と素質がqualifiedされていることが求めらます。 しかし、総責にしても安責にしても日本の場合は求められる資格要件は「薬剤師」が中心です。医薬品を”モノ”として管理してきたお作法といいますか文化的なところに依るものと私は考えています。
一方のQPPVは医薬品の臨床上の有効性と安全性の釣合を判断する立場で、医薬品を市場に流通させること関して判断する場合もあります。医師資格がありファーマコビジランス業務経験のある社内あるいは社外の専門家です。副作用報告や添付文書改訂など手続きや運用を中心とした日本の安全管理責任者よりも、より医学的科学的な存在です。医師で無い場合は、QPPVが医学的判断を適時行えるような体制を確保することが求められています。