本著は米国FDA CBERの職員2名(両名とも医師)によって書かれた記事である。[1] 再生医療製品の適応外使用の安全性と有効性が示されていない、すなわち承認をうけていない状態で治療に用いられている事への警鐘を鳴らしている。 再生医療としての製品には、定常的に製造基準に適合した状態で製造ができないような場合もある。製造が一定の品質をクリアできないとすれば、それは入院を必要とするような重篤な微生物感染の原因になるかもしれないし、製造工程中に使用された成分によって非感染性の被害をもたらす場合もある。実際に、幹細胞を用いた承認されていない製品で3名が失明したケースがあった。[2] 本著では患者から医師に対して,FDAが承認した治療用の製品であるかどうか、あるいは治験中なのかどうかを確認することが必要と指摘している。さらに、何か不具合があれば、有害事象報告を徹底してもらうことが必要である。情報が集まりFDAが製品のことをより深く知ることで、FDAが患者を守るための措置をとることができる。 著者らは、未承認の製品の使用実態を調べるべきという立場である。野放しの実験的な方法による治療が、患者に金銭的にも身体的にも負担を強いることになることを患者も治療する側も認識するべきである。
Marks PW, Hahn S. Identifying the Risks of Unproven Regenerative Medicine Therapies. JAMA. 2020;324(3):241. doi:10.1001/jama.2020.9375
Kuriyan AE, Albini TA, Townsend JH, et al. Vision loss after intravitreal injection of autologous “stem cells” for AMD. N Engl J Med. 2017;376(11):1047-1053. doi:10.1056/NEJMoa1609583