後発医薬品(ジェネリック医薬品)業界の立て直し

後発医薬品の共同開発を容易に認める現制度によって、サプライチェーンが複雑化し、安定供給体制の確認が難しくなっています。厚生労働省医政局経済課が運営する「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」でもこの点は指摘されていました。 厚労省(医政局と保険局)は2020年に先発医薬品を撤退させる枠組みを導入しています。後発医薬品が始めて供給されてから10年を先発品から後発品への移行期間と位置づけ、6〜10年目のうちに先発企業が望めば早期に先発医薬品を供給停止し市場から撤退することができるのです。オリジナルの医薬品を開発し供給してきた先発品を信頼して処方していた医師および使用していた患者から取り上げるのであれば、厚生労働省はその後を担う後発品メーカーに対して医薬品を供給する資質と責任が備わっているかどうかをより明確に国民にわかるように説明する必要があるのではないでしょうか。
また、責任が不明確になりがちな共同開発をこのまま薬事制度として容認し続けるのであれば、企業の資質を確認するべく、後発医薬品についても承認後5年を目途に(すなわちG1になる前のZ2の段階で)市販後におけるGMP、GQP、GVPに関する再審査を行ってはどうでしょうか。そこで問題がみつかれば、その後発品は市場から撤退してもらうほうが患者や医師にとっては安心して医薬品を使用することができるのではないでしょうか。その結果として、厚生労働省が新たに導入した撤退スキームを用いて、先発企業の意図した通りに売れなくなった先発品を撤退できなくなるかもしれません。しかし、それは後発品メーカーに対する法令遵守を徹底させることの出来なかった薬事行政の問題でしょう。 そういうことも含めて考えますと、後発品業界の不透明さや責任の曖昧さの問題は、実は、先発医薬品メーカーにとっても影響のある問題であり、やはり厚生労働省が関与する中で、医薬品業界全体で自分ごととして真剣に考えてもらいたいのです。
新薬は大臣が承認した後、再審査が行われますが、ここでは有効性安全性の確認だけで製造工程や品質管理の評価はされていません。また、後発医薬品は厚労大臣が承認したらその後そのまま放置されているという現実が、この数年に発覚した様々な問題を引き起こしているのではないでしょうか。製造と品質については先発品後発品共に再評価制度の考え方を見直し仕組みを強化するなど、後発医薬品薬事制度の根本的な見直しが必要なのかもしれません。