イベルメクチンのCOVID-19への効果は証明されたの?
結論から言えば、証明されていません。色々な検討が行われています。 試験管内試験(in vitro)ではウイルス低減効果ももられましたが、ヒトにおける効果はまだ不透明です。そんな中、JAMAに2021年3月4日付けで公開された研究論文がひとつの目安になりそうです。イベルメクチンを服用してもしなくても症状緩和までにかかる時間は変わりが無かった、ということです。イベルメクチンは抗ウイルス薬ですから、症状の有無だけでなく、その他の指標での検討が必要なのではないでしょうか。
COVID-19による呼吸器症状等で重症な患者さんには、レムデシビルとデキサメタゾンを用いた治療が標準的になっています。いま求められているのは中等症や軽症の患者さんが使える治療薬です。イベルメクチンに期待されているのは中等症患者さんへの使用です。中等症の患者さんに効果があるのかどうかを検証する目的で、二重盲検ランダム化プラセボ対照比較試験がコロンビアの病院で行われました。 症状があり検査でCOVID-19と確定された患者が登録されているCali州健康部のデータベースから、研究の対象患者を無作為抽出しています。中等度で症状のある(7日以下、自宅または病院で療養)成人の患者476人が2020年7月15日〜11月30日で登録され、同年12月21日まで観察期間としました。結果として200人イベルメクチン300㎍/kg 群、200人プラセボ群として5日投与されました。 投与後21日間の観察期間中の症状の変化や有害事象を確認したところ、症状改善までの期間はイベルメクチン群10日[interquartile range IQR 9-13]、プラセボ群12日[IQR 9-13]となり、ハザード比は1007[95%信頼区案0.87ー1.32](p=0.53)であり統計的な有意差は見られませんでした。観察期間21日までにイベルメクチン群は87%、プラセボ群は79%が症状寛解しました。有害事象についてもイベルメクチン群とプラセボ群で変わりありませんでした(例:頭痛それぞれ52%,56%、多臓器障害各2症例)。 COVID-19中等症の患者にイベルメクチン300㎍/kgを5日間投与した場合の効果は見られませんでした。
イベルメクチンのCOVID-19への効果は証明されたの?
