(参考)「COVID-19診療の手引き」5.2版など
今の状況は1918年から流行したインフルエンザ(いわゆるスペイン風邪)の状況とにています。当時は薬はなくワクチンも無く、対策と言えば感染を防ぐための工夫を凝らすことくらいでした。オーストラリアが厳格な検疫を行ったことでオーストラリア国内での流行を防いだことも、現在のCOVID-19の状況とよく似ています。
もちろん当時は抗生物質は発見されていなかったし、有効なワクチンなどは論外であり、インフルエンザウイルスが始めて分離されるのは、1933年まで待たねばならなかったわけです。このような医学的な手段がなかったため、対策は、患者の隔離、接触者の行動制限、個人衛生、消毒と集会の延期といったありきたりの方法に頼るしかありませんでした。多くの人は人が集まる場所では、自発的にあるいは法律によりマスクを着用し、一部の国では、公共の場所で咳やくしゃみをした人は罰金刑になったり投獄されたりしましたし、学校を含む公共施設はしばしば閉鎖され、集会は禁止されました。患者隔離と接触者の行動制限は広く適用されました。感染伝播をある程度遅らせることはできましたが、患者数を減らすことはできませんでした。このなかでオーストラリアは特筆すべき例外事例でした。厳密な海港における検疫、すなわち国境を事実上閉鎖することによりスペインフルの国内侵入を約6ヶ月遅らせることに成功し、そしてこのころには、ウイルスはその病原性をいくらかでも失っており、そのおかげで、オーストラリアでは、期間は長かったものの、より軽度の流行ですんだとされています。その他、西太平洋の小さな島では同様の国境閉鎖を行って侵入を食い止めたところがありましたが、これらのほんの一握りの例外を除けば、世界中でこのスペインフルから逃れられた場所はなかったのです。
http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/pandemic/QA02.html
国内承認済み医薬品
対象 | 一般名 | 販売名
(製造販売元) |
薬効 | 既承認対象疾患 | 承認年月 |
中重 | レムデシビル | ベクルリー
(ギリアド) |
抗ウイルス薬 | ― | 特例承認
2020年5月 |
中重 | デキサメタゾン | デカドロン
(日医工など) |
ステロイド | 重症感染症など | 手引き掲載
2020年7月 |
中重 | バリシチニブ | オルミエント
(イーライリリー) |
JAK阻害薬 | 関節リウマチ | 効能追加
2021年4月 |
軽中 | カシリビマブ/イムデビマブ | ロナプリーブ
(中外) |
中和抗体 | ― | 特例承認
2021年7月 |
国内開発中
対象 | 一般名 | 販売名
(製造販売元) |
薬効 | 既承認対象疾患 | 開発段階 |
軽中 | ファビピラビル | アビガン
(富士フィルム |
経口抗ウイルス薬 | 新型・再興インフルエンザ感染症 | 追加治験中
審議継続中 |
中重 | トシリズマブ | アクテムラ (中外製薬/スイス・ロシュ) |
抗IL-6R抗体 | 関節リウマチ | 米国EUA
2021年6月 |
軽中 | ソトロビマブ(AT-527) | ―
(米アテア/スイス・ロシュ/中外製薬) |
ポリメラーゼ阻害、経口抗ウイルス薬 | ― | 国内第3相試験開始
2021年5月 |
軽中 | モルヌピラビル | ―
(MSD) |
ポリメラーゼ阻害、経口抗ウイルス薬 | ― | 国内第3相試験開始
2021年6月 |
軽中 | S-217662 | ―
(塩野義製薬) |
経口抗ウイルス薬 | ― | 国内第1相治験開始
2021年7月 |
軽中 | イベルメクチン | ストロメクトール(MSD) | 抗寄生虫薬 | 糞線虫症,疥癬 | 治験相談中(興和) |
世界保険機関による推奨
<重症患者>
2021年7月 サリルマブ(販売名ケブザラ(サノフィ) IL-6受容体拮抗
2021年7月 トシリズマブ(販売名アクテムラ(中外) IL-6受容体拮抗
2020年9月 全身ステロイド投与 抗炎症作用
海外開発中
薬剤名 | 社名 | 種類/特徴 | 開発状況 | |
中重 | バムラニビマブ/エテセビマブ | 米イーライリリーなど | 抗体(併用) | 米EUA |
軽中 | ソトロビマブ(VIR-7832) | 英GSK/米ビル | 抗体 | 米EUA |
無軽 | AZD7442 | 英アストラゼネカ | 抗体カクテル | P3 |
BI 767551 | 独ベーリンガーインゲルハイム | 抗体(吸入) | P1/2a | |
PF-07304814 | 米ファイザー | 低分子(注射) | P1 | |
PF-07321332 | 米ファイザー | 低分子(経口) | P1 | |
VIR-2703(ALN-COV) | 米アルナイラム/米ビル | 核酸医薬 | ― | |
抗ウイルス薬 | オンコリスバイオファーム | 低分子 | ― | |
抗ウイルス薬 | ペプチドリーム | ペプチド | ― |
国内臨床研究
・アドレノメデュリン(血管拡張性ペプチド):医師主導治験(jRCT2071200041).
・シクレソニド(吸入ステロイド薬,効能・効果:気管支喘息):医師主導治験(jRCT031190269)
・ナファモスタット(蛋白質分解酵素阻害薬,効能・効果:急性膵炎):吸入薬については開発中止、注射薬については特定臨床研究(jRCT031200026).
・ネルフィナビル(プロテアーゼ阻害薬,効能・効果:HIV 感染症):医師主導治験(jRCT2071200023).
世界保険機関(WHO)によるランダム化比較試験(2021年8月11日公表)
標準治療+治験薬 vs 標準治療のみ
治験薬:アーテスネイト、イマチニブ、インフリキシマブ
主要評価項目:入院患者における死亡率
登録済み患者数14200人、参加52カ国、600病院、2000研究者
www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/global-research-on-novel-coronavirus-2019-ncov/solidarity-clinical-trial-for-covid-19-treatments