再生医療等製品の監視(ビジランス)

医薬品でもワクチンでも医療機器でもない再生医療等製品とは一体どのようなものでしょうか。日本には2020年3月末時点で9製品。

販売名一般的名称製造販売業者効能
キムリア点滴静注チサゲンレクルユーセルノバルティスファーマ株式会社
コラテジェン筋注用4mgべぺルミノゲン ペルプラスミドアンジェス株式会社
ジェイスヒト(自己)表皮由来細胞シート株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング
ジャックヒト(自己)軟骨由来組織株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング
ステミラック注ヒト(自己)骨髄由来間葉系幹細胞ニプロ株式会社
ゾルゲンスマ点滴静注オナセムノゲン アベパルボベクノバルティスファーマ株式会社
テムセルHS注ヒト(同種)骨髄由来間葉系幹細胞JCRファーマ株式会社
ネピックヒト(自己)角膜輪部由来角膜上皮細胞シート株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング
ハートシートヒト(自己)骨格筋由来細胞シートテルモ株式会社

まだまだ事例が少なく、また、それぞれの対象患者数も少ないことから治療経験も乏しい状態で、基本的なファーマコビジランスの手法に加えて、希少疾病用医薬品にみられるような製品特有のビジランスが必要と考えられます。
VigilanceとはCambridge dictionaryで
more careful attention, especially in order to notice possible danger
と説明されていますとおり、健康被害の恐れにいち早く気がつくためにより一層注意を払うことが想定されます。

手術で用いるものや注射剤など主に医師による投薬が想定される医薬品もありますが、内服剤や外用剤は基本的に薬剤師が患者に交付し患者自ら使用することから、そうした状況を想定したファーマコビジランスが作られています。ファーマコビジランスの一環として、薬局や患者からの副作用報告が各国で導入されているのも道理にかなっています。
現時点においていずれの再生医療等製品も、投与後のフォローアップが医療機関(医師)により行われます。安全性だけで無く、仮に行政から指示されていなくとも、有効性の評価に必要な情報を収集するのが企業の責務では無いでしょうか。また、医師/医療機関から提供される情報を評価するにしても、製品ごとに評価に必要とされる情報は異なるので、試行錯誤するなかで医療機関・企業・行政ともに協働し、市販後に有効性と安全性の釣合を評価するにたる十分なデータが提示されることが望まれます。