英国で承認された新型コロナウイルス感染症治療薬(経口剤モルヌピラビル)

新型コロナウイルス感染症治療薬(MSD社:モルヌピラビルMK-4482)

販売名等

l 英国Legavrio(モルヌピラビル200mg含有)
l オレンジ、不透明、サイズ0(約21.7 mm x 7.6 mm)のハードカプセル
l キャップにMSDの企業ロゴ、本体に「82」が白インクで印刷
l 使用期限18ヶ月
l メルク社により無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験が実施され、英国規制当局はこの中間解析に基づき本剤を承認した(2021年11月4日)。
l 米国FDAにて2021年11月30日に審議予定。

効能効果

l SARS-COV-2感染陽性で、重症疾患を発症する危険因子が少なくとも1つある成人、軽度から中等度の新型コロナウイルス感染症
l 18歳未満の有効性安全性は確立していない

用法用量

l 800mg(4つの200 mgカプセル)を12時間ごとに5日間経口摂取
l 診断されたら速やかに且つ症状を呈して5日以内に服用する

相互作用

l データが限られており不明(薬物および代謝物のインビトロ試験の結果より相互作用の可能性は低いとみられる)

安全性

l モルヌピラビル(n = 386)で治療された軽度から中等度のCOVID-19の被験者を対象とした第3相試験の中間分析において、治療中および最後の投与後14日間に報告された副作用(被験者の1%以上):下痢(3%)、悪心(2%)、めまい(1%)、頭痛(1%)、すべてグレード1(軽度)またはグレード2(中等度)。

有効性(第3相治験:無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験 MOVe-OUT)

l 被験者適格基準:重度のCOVID-19患者および/または入院に進行するリスクのある軽度から中等度で入院していない患者、18歳以上、事前に定義された重篤化危険因子を1つ以上有する(60歳以上、糖尿病、肥満(BMI> 30)、慢性腎臓病、重篤な心臓病、慢性閉塞性肺病気、または活動性の癌)。
l 被験者775人は1:1でランダム化され、800mgのLagevrio(385人)またはプラセボ(377人)を1日2回5日間経口投与された。
l 被験者背景:男性52%。年齢:中央値44歳(18〜88歳)、60歳以上14%、75歳以上3%。白人52%、ヒスパニック/ラテン58%、アジア系2%。
l 確認された危険因子:肥満(77%)、60歳以上(14%)、糖尿病(14%)。
l 被験者の49%は、COVID-19症状の発症から3日以内にLagevrioまたはプラセボを投与された。ワクチン接種を受けておらず、登録から5日以内にSARS-CoV-2感染と症状の発症が検査室で確認された症候性の被験者が含まれていた。

表:中間解析(新型コロナウイルス感染症患者(非入院))

Lagevrio (N=385) n (%) Placebo (N=377) n (%) Risk difference* (95% CI) p-value
All-cause hospitalisation or death through Day 29† 28 (7.3%) 53 (14.1%)  -6.8 (-11.3, -2.4) 0.0012
Hospitalisation 28 (7.3%) 52 (13.8%)
Death 0 (0%) 8 (2.1%)
Unknown‡ 0(0%) 1 (0.3%)

* Risk difference of molnupiravir-placebo based on Miettinen and Nurminen method stratified by time of COVID-19 symptom onset (≤3 days vs. >3 [4-5] days).
† Defined as ≥24 hours of acute care in a hospital or an acute care facility (e.g., emergency room).
‡ Subjects with unknown status at Day 29 are counted as having an outcome of all-cause hospitalisation or death in the efficacy analysis.
Note: All subjects who died through Day 29 were hospitalised prior to death.
60歳以上、肥満、糖尿病といったサブグループ解析でも同様の傾向

薬理作用

l モルヌピラビルは、リボヌクレオシド類似体であるN-ヒドロキシシチジン(NHC)に代謝されるプロドラッグであり、細胞内に分布してリン酸化され、薬理学的に活性なリボヌクレオシド三リン酸(NHC-TP)を形成する。 NHC-TPは、ウイルスRNAに取り込まれることで新生RNAの鋳型となり、ウイルスの遺伝子に突然変異を誘導し、変異を蓄積させ、複製を阻害する。
l (参考)C型肝炎治療薬であるリバビリンで、同様の作用(ウイルス変異誘導による死滅)が確認されており、ファイザー社が開発中の新型コロナウイルス感染症治療薬では、リバビリンを併用することになっている。