COVID-19 ファイザー社ワクチン、 日本の薬事承認では-75度±15度という温度管理が求められる予定といわれています。国はこのファイザーのワクチンのためだけに通常は不必要な冷凍庫を医療機関へ斡旋しようとしているようです。通常は不必要な、というのも、ワクチンは冷蔵保存が普通だからです。英国アストラゼネカほか、日本国内で流通が見込まれる開発中のワクチンの中には冷蔵保存が想定されているものもあります。そうした中での冷凍庫の購入は、後々に医療機関の負担になる可能性もあります。せめてリースならよいと思いますが、どう対処されるか個人的には注目しています。また、報道(2020年12月4日)によればイギリスでは50ほどの拠点病院での接種大差生を作ろうとしているようです。私も当初から、診療所で行っているようなワクチン接種は超低温温度管理の面から難しく、それを行わせるための整備をするよりも、接種拠点を決めて接種する方がよいと先生方に伝えていました。厚労省の中にはこうした現実的かつ効率的な方法を理解してくださる方も少しはいるので、がんばってもらいたいなと思います!!
なぜ、超低温保存が必要なのでしょう。ファイザー社とモデルナ社のワクチンはmRNA型と呼ばれています。このmRNAは今まで医薬品として承認されたものはありません。日本でワクチンが承認されれば初のmRNA製剤となります。ですから、せっかくのワクチンが無駄になってしまわないよう、より慎重な品質管理・運用方法から開始して、社会全体や医療現場がワクチン接種に少し慣れてから、見直しをするのが普通のマネジメントだと思います。政治家の理論に負けずに、厚労省はじめ行政による科学や実態に基づく判断を期待します。
ところで、ファイザーのワクチン、単純な計算で言えば1億人の2%にあたる200万人に高熱の副反応がでる可能性があるといわれています。健康な成人でも辛いと思いますが、体力の無い高齢者や小児にはかなり辛いでしょう。また、先に紹介したような温度管理の難しさから、特に初期段階でのワクチン接種は対応する冷凍設備を持っているコロナ対応病院をはじめとした比較的大きな病院あるいは地方自治体で予防接種拠点を設置し、場所を限定して副反応の様子を確認するほうが良いと思われます。病院の患者、スタッフから接種を始めることも考えられます。いずれにしても、万が一、接種後の高熱等の重篤な副反応が現れたとしても、病院で速やかに手当てされるような連携体制が必要だと思います。