世界の認識。イベルメクチンの新型コロナウイルス感染症に対する有効性を検証するには、規模や質が一定レベル以上のプラセボ対照比較試験が必要です。何か欲しいと藁にもすがる患者さんの気持ちもわかりますが、命綱では無く本当に藁ではどうしようもありません・・・藁を綱にできるかもしれない、そんな臨床試験を日本で行う必要があるはずだと思います。
一方、2021年7月28日に公開されたイベルメクチンに関するコクランレビュー[1]、今のところ有効性確認できず。臨床試験以外でのイベルメクチン使用を支持できるような確固たるエビデンスにはなっていません。「臨床試験以外での使用を推奨しない」という現時点でのWHO、FDA、EMAの方針の正しさを示していると思います。 “Overall, the reliable evidence available does not support the use of ivermectin for treatment or prevention of COVID‐19 outside of well‐designed randomized trials.”
日本はどうでしょう。医薬品開発国を自負しているにもかかわらず、企業治験の被験者を集めることができず結果が出せない、つまり欧米のように「イベルメクチンを臨床試験以外で使用しない」という確固たるメッセージを示すことができずに、むしろアフリカ諸国並みに根拠無くイベルメクチン使用を厚労省が認めてしまう[2]・・・・これでは被験者が集まらないのも道理です。アビガンも同様です。治験を邪魔するような観察研究を厚労省が支援していて[3]、環境作りは一企業でてきることではありません。興和株式会社が治験実施のための相談をしているようですが・・・・被験者を集めることが難しい状況です。こうしたことは世界から「日本は臨床試験に必要な環境を整備することができない国」として受け止められるでしょう。
さて、イベルメクチンについては、被験者登録が終了している北里大学の臨床試験の成績(ほぼ結果見えているはずがアピールされていないので、あまり良い結果ではない可能性があります)や、これから出てくる各国での臨床試験の結果もあるので、いずれまたコクランレビュー改訂されると思います。
1. www.cochrane.org/CD015017/HAEMATOL_ivermectin-preventing-and-treating-covid-19 2. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き(第5.2版 2021年7月30日)https://www.mhlw.go.jp/content/000815064.pdf 3. 厚生労働科学研究班に関する事項https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00111.html