観察研究の結果に喜んでいる人々がいますが、
私はアメリカで行われている富山化学企業治験と
ロシア後発品の臨床試験結果を待ちたいと思います。
藤田医科大の観察研究に登録された患者は
「軽症に該当する患者が 976 名(45.2%)、中等症に該当する患者が 947 名 (43.9%)、重症に該当する患者が 235 名(10.9%) であった。」
報道のように結果9割が回復したかもしれませんが、もともと重症で回復が難しい患者は1割しかいませんでした。
だからこそ、藤田は
・本研究から軽症患者にファビピラビルが投与された場合にほとんどの患者が回復している一方、重症患者では治療経過が思わしくないことも多いことが読み取れる。
・大規模な疫学研究により、COVID-19は8割以上が軽症で自然軽快することも多いことが示されている
と考察で正しく論じています。
また、この中間報告では患者背景として発現日から投与日までの日数が報告されていません。
これがないと本当の意味での、症状発現から回復までの日数として何日から何日へ短縮できたのか、というそもそもの議論ができないのです。
レムデシビルは中等症以上(8段階で4以上、NEJMのTable1)で発現から回復までの日数をプラセボ15日vsレムデシビル11日にしました(Table2のMedian time to recovery)。国立国際医療センターも参加しています。
- 藤田医科大学. ファビピラビル観察研究中間報告. 2020年5月26日. http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_favip_0526.pdf
- Beigel JH, Tomashek KM, Dodd LE, et al. Remdesivir for the Treatment of Covid-19 — Preliminary Report. New Engl J Med. Published online 2020. doi:10.1056/nejmoa2007764